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死後事務委任契約

【概要】
 死後事務委任契約とは、委任者(本人)が第三者(個人、法人を含む。)に対し、亡くなった後の諸手続、葬儀、納骨、埋葬に関する事務等についての代理権を付与して、死後事務を委任する契約をいいます。
 どのような場合に利用されるかというと、代表的なのは以下のようなケースです。
 1 身寄りのない方が自分の亡くなったときのために利用する。
 2 相続人と疎遠になっているため、身近にいる信頼できる人に自分の死後の処理を任せたい。

【死後事務の内容】
①医療費の支払いに関する事務
②家賃・地代・管理費等の支払いと敷金・保証金等の支払いに関する事務
③老人ホーム等の施設利用料の支払いと入居一時金等の受領に関する事務
④通夜、告別式、火葬、納骨、埋葬に関する事務
⑤菩提寺の選定、墓石建立に関する事務
⑥永代供養に関する事務
⑦相続財産管理人の選任申立手続に関する事務
⑧賃借建物明渡しに関する事務
⑨行政官庁等への諸届け事務
⑩以上の各事務に関する費用の支払い

【任意後見契約・見守り契約、遺言書との関係】
 任意後見契約や見守り契約は生前のサポートになりますので、任意後見契約・見守り契約だけを結んでいては死後の事務をサポートする事ができません。
 葬儀などの費用や医療費の支払いの代理などは事前に死後事務委任契約を締結する必要があります。
 また、死後の手続との準備として遺言があります。遺言は法律で定められた文書ですので、記載できる内容は法律で定められた事柄のみです。
 例えば、「葬儀」は相続財産ではないので、遺言書によって「葬儀」について指定したとしても法的な拘束力は認められないのです。つまり、遺言書に記載しただけではその内容を実現することは困難となります。
自分が亡くなった後にトラブルが発生することを未然に防ぐ意味でも、死後事務委任契約は有効です。
 また、遺言書の作成や任意後見契約・見守り契約と併せて利用することで更に実効性を上げることが可能になります。

【死後事務委任契約書の作成方法】
 死後事務委任契約書はどのような形式で作成してもかまいませんが、自分の意思で作成したことを明らかにするために公正証書で作成すると良いでしょう。
 財産管理委任契約や任意後見契約とともに作成することをお勧めします。

【実務例】
◆ケース1
A(74歳)さんは高齢で一人暮らし。妻は既に他界しており、Aさんの子供や孫、弟は遠方に住んでいる。Aさんは、子供や孫、弟、ご近所の方々に手間や迷惑をかけることなく、ひっそりと葬儀を済ませ身辺整理をしたいと考えていました。

⇒死後事務委任を締結しAさんの希望を実現。

◆ケース2
B(79歳)さんは高齢で一人暮らし、夫と子は既に亡くっており、唯一の親族である姉とは非常に仲が悪い。自分が亡くなった後の死後の事務手続について大変不安を有していました。

⇒死後事務委任を締結しBさんの不安を解消。
お問い合わせ 行政書士:佐藤浩史が担当しております。