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成年後見人の職務内容

成年後見人の職務内容について

成年後見人の職務内容についてのイメージ
1 成年後見人の職務の概要

後見人の職務内容は、財産管理と身上監護になります。
後見人は職務遂行にあたって以下のことに注意しなければなりません。

  • 善良なる管理者の注意義務をもって職務を遂行する。
    (民法869条)

  • 被後見人の意思を尊重し、その身上に配慮し職務を遂行する。(民法858条)
2 選任された後見人がまず行うこと
  1. 財産目録の提出

選任された成年後見人は、遅滞なく本人の財産調査を行い、1ヶ月以内に財産目録を作成しなければなりません。ただし、事情がある場合は、家庭裁判所は1ヶ月という期間を延ばすことを認めています。(民法853条第1項)なお、作成にあたり以下の点について注意が必要になります。

  • 財産の調査及びその目録の作成は、後見監督人があるときは、その立会いをもってしなければなりません。(民法853条第2項)
  • 後見人は、財産の目録の作成を終わるまでは、本人と後見人の財産が混同をおこす可能性があるので、財産の処分などの権限は認められません。ただし、急迫の必要がある場合は、必要最小限の行為のみをすることが許されます。ただし、これをもって事情をしらない第三者にこのことを主張することはできません。(民法854条)
  • 後見人が、被後見人に対し、債権を有し、又は債務を負う場合において、後見監督人があるときは、財産の調査に着手する前に、これを後見監督人に申し出なければなりません。なお、後見人が、被後見人に対し債権を有することを知ってこれを申し出ないときは、その債権を失います。

成年後見人に就職した後に、本人が相続などにより包括財産を取得した場合は、成年後見人に選任されたときと同じ要領で、財産目録を作り直す必要があります。

  1. 後見事務計画書の作成

成年後見人は、その就職の初めにおいて、被後見人の生活、教育又は療養看護及び財産の管理のために毎年支出すべき金額を予定しなければならない。(民法861条第1項)ということで、「財産目録」と同時に「後見事務計画書」についても就任時に家庭裁判所に提出する必要があります

3 居住用不動産を処分する場合のイメージ
3 居住用不動産を処分する場合

成年後見人等が本人に代わって居住用不動産を売却する場合には、裁判所の許可を得る必要があります。その際に必要な書類は以下の通りです。

  • 戸籍謄本(成年後見人等、本人)
  • 住民票(成年後見人等、本人)
  • 売却する不動産の登記簿謄本
  • 売買契約書(予定)の写し
  • 売却する不動産の価格の妥当性に関する資料(査定書、評価証明書 など)

申立ての手数料は800円(収入印紙)です。
売却相手と売却額が決まってから申立てをすることになります。
なお、居住用不動産については売却だけでなく、賃貸契約の解除等の場合も許可が必要になりますので注意が必要です。

4 死後の事務について

被後見人が亡くなった場合には成年後見人の任務は当然に終了することが原則になります。
しかし、被後見人の親族等が近くにいない場合等は、後見人に応急的な事務処理を期待されることが多く、家庭裁判所からも要請がされることがあるようです。
以下に、主な具体的事務内容を挙げておきます。(すべてが必要になるわけではありません。)

  • 遺体の引き取り、保管等の手配
  • 死亡届、埋葬許可取得
  • 葬儀、火葬などの手配と実施、関係者への連絡、費用の支払い
  • 医療費などの生前債務の弁済
  • 公共料金の精算(電気、ガス、水道、電話、NHK)
  • 施設費用や家賃などの精算、年金の精算、健康保険、介護保険手続き
  • 火葬後の遺骨の管理、納骨の手配
  • 裁判所への報告、後見終了の登記
    相続人が存在する場合には、財産を引き継ぎ、家庭裁判所に報告することで成年後見人の職務は終了することになる。

手続きの費用 事務所案内
お問い合わせ 行政書士:佐藤浩史が担当しております。