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相続手続

相続手続

成年後見人の職務内容についてのイメージ

被相続人が死亡すると相続人は、被相続人に一身専属する権利・義務を除く一切の権利・義務を承継することになります。プラスの財産とマイナスの財産がそれぞれある場合に、プラスの財産の方が明らかにマイナスの財産より多い場合には単純に相続する(単純承認)と思います。しかし、マイナスの財産が明らかに多い場合やどの程度の負債があるのか不明な場合には、単純承認を行ってしまいますと、一切の権利と共に義務も背負うことになりますので、負債が遺産より多い場合は相続人自身の財産で弁済しなくてはなりません。つまり、相続人は相続により負債を背負う状態になります。これでは相続人に負担が生じてしまいます。 
 相続財産が債務超過にある場合、相続人がその債務を免れる為の方法は、(1)相続放棄をして一切の権利義務を承継せず、相続人としての地位から離脱する方法(相続放棄)と(2)相続はするが被相続人の義務は相続によって得た財産の限度で負担し、相続人自身の個人財産で弁済する責任は負わない方法(限定承認)とがあります。相続人はいづれの方法も自由に選択することができますが、どちらを選択するにしても「自己の為に相続が開始されたことを知った日」から3ヶ月以内に判断しなくてはなりません。 
 相続方法の選択は相続放棄を行うべきであった場合に、放棄をしなかったことで自分の固有財産まで失うといった不幸な事態を避ける為にも十分に調査し、判断を行う必要があるといえます。

相続の流れ

1 被相続人の死亡=相続の開始→7日以内に死亡届の提出※相続の開始は被相続人の死亡 以外に、失踪届によっても開始される。→失踪届は家庭裁判所の失踪宣言確定後、10日 以内に提出する。

2 相続人調査相続人は誰なのか決定しなければなりません。

イ 遺言書の有無について確認して下さい。
遺言有→遺言書に記載あるように相続人が決定します(自筆証書遺言の場合は家庭裁判所    の検認後に開封)
遺言無→遺産分割協議により決定します。

ロ 戸籍謄本等を取得し相続人を確認・決定しなければなりません。

<収集する戸籍>相続人を確定するために必要な被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本類とはどんなものでしょう。戸籍謄本の種類には戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍、戸籍の附票があります。
●戸籍謄本
 戸籍と聞いて思い出すのがこの戸籍謄本で、いわゆる現在の戸籍です。
●除籍謄本
 戸籍に記載されている人が、もし死亡や婚姻などによって戸籍から抜けると、名前が×で抹消されていきます。これを除籍といいます。全員が除籍されたり、本籍地が移される(転籍)と、その戸籍は除籍という呼び名に変わります。この除籍の写しが除籍謄本です。これも相続人調査で必要な戸籍です。
●改製原戸籍改製
 戸籍はこれまでに法令が変わることにより、何度か改製されているのですが、この法令の改正などによって作り変えられる前の戸籍の事です。なぜ、作り変えられる前の戸籍である改製原戸籍が必要かというと、改製後の戸籍には、その時に必要な情報しか載っていないためです。戸籍謄本を収集して相続人を確定したとしても、それだけでは不十分で、改製原戸籍を取得しておかないと、その他の相続人の存在は分かりません。この改製原戸籍に相続人が一人でもいた場合、相続人すべての合意が必要な遺産分割協議書は無効となります。
●戸籍の附票
 戸籍の附票とは、その戸籍が出来たときからの住所変更履歴が記載されたもので、戸籍に記載されている人が引越などをして役所に住所変更をした際、この戸籍の附票に新しい住所が記載されていきます。戸籍の附票は、住所を確認するために必要とされます。
●謄本と抄本
 戸籍、除籍、改製原戸籍には、それぞれ謄本と抄本があります。謄本と抄本の違いですが、謄本は役所に記録されている戸籍の原本をそのまま写した文書のことをいいます。これに対して抄本とは、原本の一部を抜き出して写した文書の事を言います。戸籍に載っている人の中で一人の情報だけを知りたいような場合は、抄本を取得しますが、相続手続きにおいては、基本的には謄本を取得します

3 財産調査
イ 相続をする財産を調査し、財産の目録を作ります。
ロ プラスの財産(資産)とマイナスの財産(借金などの負債)を確認する。ハ 相続方法を決定する。
a.単純承認 → 一般的な相続の方法
b.相続放棄 → 相続財産のすべてを放棄する方法
c.限定承認 → プラスの財産の範囲内で債務を引き継ぐという方法
(注)相続放棄も限定承認もしないで死亡の日より3ヶ月が経過すると、単純承認したものとみなされます。

4  遺産分割協議及び遺産分割協議書の作成
●遺産分割協議
 相続人が1人だけでなく、2人以上いる場合には、相続財産をどのように分けるかという問題が生じます。遺言があれば遺言の通りに分割(分けます)されます。遺言がなければ法定相続分(民法に定められている)にしたがって分割しますが、相続人全員で話し合い相続人全員の同意があれば、どのように分割してもかまいません。どの遺産を誰がどういう割合でどのように分けるかを決めるために相続人間で話し合うことを遺産分割協議といいます遺産分割には、いつまでにしなければならないという期限はありません。しかし、放っておくと、相続人が亡くなったり、新たに相続人が増えたりと、相続関係が複雑になってしまいトラブルが生じる可能性があります。早めの遺産分割協議をお薦めします。

●遺産分割協議書
 一般的には相続人が複数の場合に、法定相続分と異なる遺産の分配方法を定めた場合、遺産の分配方法を書類に記すものを遺産分割協議書と言います。遺産分割協議書は必ず作成しなければならないものではありませんが、後日の紛争の蒸し返しを防止するため、また次のような場合に必要となるので作成しておきましょう。

ⅰ不動産を遺産分割によって所有権の移転をする場合→所有権移転登記の申請の際に遺産 分割協議書が必要
ⅱ被相続人の銀行預金等を遺産分割協議で相続人のうちの誰かが取得して解約や名義変更 する場合→銀行等の金融機関が預金者の死亡を知ると相続人同士のトラブル防止などの ため金融機関はその人の預金口座を凍結します。凍結を解除するため銀行から遺産分割 協議書の提出を要求されることもあります。
ⅲ相続税の申告の際、法定相続分と異なった遺産分割をした場合→税務署から遺産分割協 議書の提出を要求されます。

5  各相続財産の手続→必要書類の回収 不動産の相続登記申請その他財産の名義変更

6  相続税の申告と納付手続き→ 10ヶ月以内に納付

7  相続手続完了

お問い合わせ 行政書士:佐藤浩史が担当しております。